第九十五夜   嫌な予感と共に目を覚まし、慌てて枕元を探ってスマート・フォンを手に取って確かめると、いつも目覚ましを鳴らしている時刻を優に三十分は回っている。 慌てて飛び起きて寝間着代わりのTシャツを脱ぎながら […]
第九十夜   先方の都合で残業がなかなか片付かず、仕方無しに軽い夕食を摂ろうと職場から最寄りのコンビニエンス・ストアヘ向かう。 人通りもほとんど無くなった裏通りの赤信号を我ながら律儀に待っていると、店の前、横断 […]
第八十七夜   友人の別荘をお暇して暗い山道を下っていると、頭の上で大きく両手を振るヘルメット姿の人影をヘッド・ライトが照らし出した。細いジーンズに包まれた腰回りからして、どうも女性のようだ。 慌ててスピードを […]
第八十六夜   秋の夜道は街灯に照らされてなお足元が暗く、それでも重くダブつくスカートは自転車を飛ばすのには向いていない。ズボンを穿いてくればよかったと後悔する。塾で居残り勉強を命じられ帰宅が遅くなってしまった […]
第八十一夜   いつもの公園のいつものベンチに腰を下ろし、冷凍食品を詰め込んだだけの小さな弁当箱を膝に載せて噴水を眺める。 久し振りの秋晴れの昼休みに味わう、ささやかな贅沢である。 小さな弁当箱はすぐに空になる […]
第八十三夜   終電を最寄り駅で降りると、疲れきった頭と身体は習慣に引き摺られて半ば無意識に改札を出て家路を辿る。 駅前のロータリーを抜けて交差点を斜めに渡ると、そのまま公園へ入る。律儀に公園の周囲を周るより中 […]
第八十二夜   トルコ人の友人がケバブの屋台を手伝えと連絡をしてきたのは昨夜のことだった。気温の急変にやられて風邪を引いた相棒の代わりに、接客だけしてくれればというので軽い気持ちで引き受けた。 朝から秋葉原、上 […]
第八十一夜   引っ越しの荷物を積んだ車に乗り込む両親を見送って、弟の手を引きアパートの部屋に戻るのは今日二度目だった。幼い弟は引っ越しにおいては戦力外、と言うよりは寧ろ足手纏であり、私も力仕事の役には立たない […]
第八十夜   深夜の自動改札を抜けて階段を昇ると、まるで人気の無いホームに出た。 普段は最終電車で帰るのだが、その場合ホームはもう少し賑やかだ。今日は少し早めに仕事を切り上げた分まだ数本の電車が残っているはずだ […]
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