第五百八十四夜   夕食を終えて蒸し暑い自室で勉強をしていると、妹が藁半紙を片手に部屋を訪ねてきた。 何の用かと尋ねるとその藁半紙を示し、来週から三泊四日で部活の合宿が始まるのだと言って難しい顔をする。それでピ […]
第五百八十一夜   相変わらずのテレワークで自室にてPCのキィボードを叩いていると、いつの間にかパタパタとベランダを雨の叩く音がしていた。夕立と呼ぶには少々日が高いが、朝方見た天気予報では夕立、雷雨を警告してい […]
第五百八十夜   数日降り続いた雨から一転して猛暑日となった日の深夜、あまりの蒸し暑さに体が火照って目が覚めた。節電のため適当な時間で冷房が切れるようにタイマを設定していたのが仇となったか。 布団には湿気ととも […]
第五百七十夜   顧問が急病で部活が半分休みになった土曜の午後、部活仲間と高校近くで急に出来た暇を潰して最寄り駅へ帰ってくると、ちょうど辺りは夕焼けに染まっていた。 額に手を翳して西日に目を細めながらロータリィ […]
第五百六十二夜   じゃあまた明日と皆と別れて裏口を出ると、花の金曜日の夜の街はネオン・サインもほとんど無く、往年の活気を思えば随分と寂しいものだった。 酔いの回った頭に疫病への恨み言を浮かべながら徒歩一分、ぽ […]
第五百五十八夜   夕食後、山の夜風に当たりながら酒を飲んでいて、標高が多少高いせいもあるのだろう、五月晴れの陽射しに慣れた身体が少々冷えてきた。部屋に置かれた案内書きに拠れば大浴場は夜十時まで開いているとのこ […]
第五百五十三夜   買い物袋を提げての帰宅途中、自宅まで最後の角を曲がって驚いた。自宅の前に警察車両が停まり、制服警官が交通整理を行っている。 何事かと足を速めて近付くと、ブロック塀に運送会社の大型トラックが突 […]
第五百三十三夜   風呂上がり後のあれこれを終え、いざ寝ようかというとき、お客の言葉を思い出した。 ――四角い部屋の真ん中に布団を敷き、四隅を順に見回しながら寝る。 それは、金縛りに遭う方法だという。節分に恵方 […]
第五百三十一夜   予想だにしなかった間取りに虚を突かれ、 「何ですか、これ?」 と尋ねる間の抜けた声が、家具やカーテンの無い部屋に特有の残響を残した。担当者が苦笑いを浮かべて、 「出窓、だったものです」 と錠 […]
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