第四百九十三夜   疫病騒ぎで減った運動量と反比例して増える体重に、久々に夜のジョギングを再開しようと、きつくなったジャージと運動靴とを発掘して、爽やかな風の吹くようになった夜道へ出た。 学生時代に拡張した胃袋 […]
第四百九十二夜   深夜頃にはここらも暴風域に入ると聞いて風雨の酷くなる前にとバイトを家に帰す約束をして、滅多に下ろすことのないシャッタを店の大きな窓の半ばまで下ろした。 ここは山中の盆地に田畑の広がる中、比較 […]
第四百九十一夜   トレイに載せたグラス二つを窓際の少女達へ運ぶと、 「ね、新しい都市伝説、仕入れちゃった!」 と聞こえてきた。 私のバイト先であるこの店は大手チェーンに比べて値段が安く、彼女達のような学生服姿 […]
第四百九十夜   桶の中のキッチン・タイマが無粋な電子音で時限を報せるので、後ろ髪を引かれる思いで事実上貸し切りの大浴場に別れを告げ、さっと汗を流して脱衣場に戻り、浴衣に着替えた。 髪は部屋に戻って乾かそうとタ […]
第四百八十九夜   居間でヘッドフォンを耳に掛けてエレクトーンの練習をしていると、母が買い物に出る間の留守を宜しくと言って出掛けていった。 暫くすると妹がテーブルにドリルの類を広げてその前に坐る。この期に及んで […]
第四百八十八夜   昼の部の最後のお客をお見送りして、自分とバイトの女性の賄い飯を作りに厨房へ入って鍋を火に掛けた。 彼女もいそいそと食器を下げ、座席、パウチされたメニュ、テーブルと、マニュアル通りの順番に、ゴ […]
第四百八十七夜   九月に入ってから後期の授業が始まるまでの間を選んで、私の所属するサークルでは毎年夏合宿をすることになっていた。 夏の最盛期を過ぎて料金の下がり、人出も少ない平日を中心に宿を借りて、朝から晩ま […]
第四百八十六夜   買い物袋を提げて市営の駐輪場へ入ると、まだ宵の口にもかかわらず、既に自転車はまばらだった。人出が減ったのか、それとも私のように帰宅時間の早い人が増えたのか。そんなことを考えながら買い物袋を自 […]
第四百八十五夜   夕立の中に傘を首で押さえながら、買い物袋を籠に乗せた自転車を押して帰宅すると、何はともあれ空調のリモコンを操作して冷房を入れた。誰も居ない日中に暖められて淀んだ部屋の空気が撹拌されながら、急 […]
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