第五百二十夜   年明け後が締め切りの仕事を年内に片付けてしまおうと、炬燵に電気ポットと甘い物を用意して、ノートPCに向かって作業を始めたのは夜中の十一時頃だった。 疫病騒ぎは数字の上では治まったようだが、マス […]
第五百十九夜   「こちらをご覧頂けますか?」 と警官が差し出したタブレットに表示されていたのは、ブルーシートに乗せられたどなたかのご遺体だった。 肩まで伸びる黒髪も、まだ真新しい上下のパンツ・スーツもずぶ濡れ […]
第五百夜十八   疫病騒ぎが落ち着いて、遂にとあるバンドの生ライブが行われることになった。 是非一緒に見に行こうと、同性の友人へ連絡を入れて返事を待ちながら、まだチケットも取れるかどうかわからないのに、浮かれた […]
第五百十七夜   年の瀬も迫ったある金曜の夜、兄から一人暮らしの家を訪ねてくれと連絡が来た。残念ながらこちらにも特に用事がなかったために了承の返事をすると、近くの量販店でライム、ジンと炭酸水、適当なツマミを買っ […]
第五百夜十六   一通り取ってきた甘い物を平らげ、温くなった珈琲を片手に談笑していると、斜向かいに座った友人のスマート・フォンがテーブルの上で震えた。 仕事の連絡か何かだろう、ちらりとそちらに目を遣る彼へ掌を差 […]
第五百十五夜   棚に並んだ商品の写真を撮りながら、奇妙な事に気が付いた。 うちは小道具貸しの小さな会社で、都からほど近い田舎に倉庫を並べ、十数万店の小道具を管理している。時代ごとに形の変わる郵便ポストや公衆電 […]
第五百十四夜   事務所で店番をしていると、門から大型のバンが入ってきて事務所の前に停まった。返却のお客様だろう。 うちは小道具貸しの小さな会社で、都からほど近い田舎に倉庫を並べ、十数万店の小道具を管理している […]
第五百十三夜   仕事帰り、久し振りに酒をと誘ってきた同僚は、一杯目の生ビールをギュッと目を閉じて味わった後、開口一番、聞いて欲しい話があると言い、胸ポケットの財布から一枚の写真を取り出した。 曰く、疫病騒ぎの […]
第五百十二夜   吊り革に体重を掛けながら電車に揺られていると、妻からメッセージ・アプリに連絡が入った。 後どのくらいで帰るのかというので、最後に通り過ぎた駅を思い出し、そこから逆算するに後十分程で最寄り駅だと […]
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