第二百七十九夜   せめて気温の上がり切る前にと、開店直後の量販店で食料を買い込んだ。一週間分の食料のずっしりと重い買い物袋を両手に提げて、額を垂れる汗を拭うこともままならないまま住宅街の細い路地へ入る。 大通 […]
第二百七十八夜/h3>   日が暮れてなお蒸し暑いホームから車両へ入ると、よく冷えて乾いた空気がシャツの汗と体温を急激に奪っていった。それだけで、一日の仕事を終えそれなりの達成感と大きな疲労感を抱えた身体 […]
第二百七十七夜   夏休み最後の日曜というので、近所の仲の良い家族を誘って河原へバーベキュをしに行った。 幸い天候の不安もなく、家族連れ、職場の集まりと思しき集団、大学のサークルらしき若者達などでごった返す河原 […]
第二百七十六夜   炎天下、同僚達と昼食を摂って社屋へ戻ると、一人脇の植え込みの横を通って裏手の勝手口へ回り、煙草に火を点けた。社内分煙のため屋内は全室禁煙となっており、喫煙所は勝手口の外に設けられたここだけで […]
第二百七十五夜/h3>   盆休みが開けた初日の水泳教室で指導を終えてシャワを浴びていたところへ、プールからほど近い校門の辺りから子供達の叫び声が聞こえてきた。 水を止めてタオルを掴み、大急ぎでそちらへ向 […]
第二百七十四夜   半年ぶりに母と二人並んで夕飯の食器類を片付け終え、マグカップを片手に廊下へ出て居間へ向かう。 避難勧告も出ていないとは言え、横殴りの雨の雨戸を叩く音は聞いていて心地の良いものではない。台風の […]
第二百七十三夜   久々に両親を喜ばせてやろうと、盆に帰郷する旨を連絡したのが却って気を遣わせることになった。最寄り駅のロータリィへ車で迎えに来ると父が言い出した。大した距離でもないからと言っても聞かないので、 […]
第二百七十二夜   質の良いものが多少売れてしまうのは諦めて、陽が傾いてから家を出て買い物に向かったが、皆考えることは同じなのか棚の商品は時間の割に減っていなかった。 数日分の野菜や魚を買い込んで店を出ると西の […]
第二百七十一夜   今年から移った勤め先の最寄り駅の近くに、常連とは言わないが月に数度呑みに行くようになったバーが有る。 落ち着いた雰囲気ながら気障でも成金趣味でもない、かといって垢抜けず貧乏臭さもない不思議な […]
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