第百八十九夜   大学のサークルで参加したイベントの後片付けに手間取って、終電を逃した。 しかし、家の近い友人を持つ者も少なくなく、始発の動き始めるまで居場所の無いのは私を含め五人で、駅から近い二十四時間営業の […]
第百八十八夜   残業をどうにか終電に間に合わせ、人気の無いベッド・タウンの駅で降りる。 駅前の繁華街は狭く、大通りを一つ渡ると直ぐに薄暗い住宅街へ入る。一定の間隔で街頭が立ってはいるがその間隔は疎らで、蛍光灯 […]
第百八十七夜   父方の祖母の法事で、記憶にある限り初めて父の実家へやってきた。その祖母というのがどうも母と折り合わず、私の物心付くより前に大喧嘩をして以来、ほとんど往来が失くなったのだという。 定型句のように […]
第百八十六夜   トレイに載せたグラス二つを窓際の少女達へ運ぶと、 「ね、新しい都市伝説、仕入れちゃった!」 と聞こえてきた。 私のバイト先であるこの店は大手チェーンに比べて値段が安く、彼女達のような学生服姿の […]
第百八十四夜   夕方から夜通し車を走らせて、東北のある山中の川岸へ付いたのは丑三つ時の闇の中だった。 高速道路は混む様子もなく、禁漁期間前最後の休日と意気込んで張り切りすぎたか。朝間詰めまでは暫くある。夜道の […]
第百八十三夜   雨に降り籠められて休日が退屈にり、ふと暫く振りに自宅のデスクトップ・PCの電源を入れる。仕事のデータを持ち帰ることができなくなったこと、簡単なネット・サーフィンくらいはタブレットで済ませてしま […]
第百八十二夜   夫が週末に出掛けるというので、いつもより多めの食料を買い込んで車に積んだ。ほんの数キログラムの差だろうが、アクセルもブレーキも若干聞き難いような気がするから不思議なものだ。 大通りを折れて自宅 […]
第百八十一夜   仕事を終えて帰宅し、レジ袋から酒とツマミを取り出して座卓に広げる。 独り酒に静寂は心がささくれるのでテレビを点ける。何が見たいというのではないが、恐怖映像特集とやらを見つけ、まだまだ厳しい残暑 […]
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