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小説記事

第六百八十九夜

橘 偲 -
8月 10
第六百八十九夜   珈琲が落ちてゆくのを眺めながら頭の中で幾度目かの反省を終えるが、やはり原因には思い至らなかった。もはや怪奇現象とでも思って諦めるしかないのだろうか。 苦い珈琲を舐めながら暫く呆けていると、店 […]
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第六百七十四夜

橘 偲 -
6月 18
第六百七十四夜   仕事の話を終えて荷物を片付けながら、間を埋める世間話に、 「あの、先程はご都合を考えずにお電話差し上げてしまって失礼致しました」 と今更ながら謝罪をした。遡ること三時間ほど、打ち合わせに先立 […]
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第六百六十七夜

橘 偲 -
5月 25
第六百六十七夜   学食で友人達と集まって昼食を摂り、次の授業まで時間のある者数人が残って世間話をしていると、 「日曜日、バイト先で変なことがあって……」 とそのうちの一人が言い出した。 彼女は大学入学後ほどな […]
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第四百三十五夜

橘 偲 -
2月 28
第四百三十五夜   草木も眠る丑三つ刻、書類仕事を一通り片付け、週刊誌を捲りながら鳴らない電話の番をしていた。 小規模のタクシィ会社の事務所で、客からの電話と運転手からの電話とを、深夜帯は一人で担当する。終電か […]
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第四百二十九夜

橘 偲 -
2月 7
第四百二十九夜   午後の陽の柔らかく当たるベランダで並べたプランタを弄っていると、尻のポケットに入れたスマート・フォンが短く振動した。 剪定した葉や落ち葉をゴミ袋に入れてその口を縛り、生ゴミ用のバケツに片付け […]
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第三百七十七夜

橘 偲 -
8月 9
第三百七十七夜   蒸し暑さに目が覚めて、やや寝足りないものを感じつつ顔を洗って水を飲む。額や首に熱が籠もっているように感じるのは軽い熱中症だろうか。 汗で湿った寝間着をジョギング用の服に着替え、水筒とイヤホン […]
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第三百五十二夜

橘 偲 -
5月 14
第三百五十二夜   外出自粛要請を受けて間もなく私が在宅勤務をすることになったのを知った看護師の友人から、しばしばネット回線を使った音声通話が掛かってくるようになった。 彼女はもちろん出勤をするのだが、非番にな […]
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第三百八夜

橘 偲 -
12月 12
第三百八夜   アルバイトを頼んでいる子達のシフトの都合が上手く付かず、深夜から朝までの店番の後、六時間だけ休憩を挟んで昼からもう一度店に入らなければならなくなった。自宅はすぐ近いとはいえ、時間が短いので帰宅し […]
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第二百四十三夜

橘 偲 -
4月 28
第二百四十三夜   突然、ブツリと電話が切れた。 大型連休を目前に控えた夜、大学の友人の一人から数年ぶりに掛かってきた電話だった。連休中に暇ならば久しぶりに会って酒でも飲もうと、スマート・フォンを肩と耳とで挟み […]
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