第五百九十八夜   彼女の買い物に荷物持ちとして同行した帰りはまだ夕食には早過ぎる頃合いで、喫茶店で甘い物でもと誘われてモダンな外装の喫茶店に二人でふらりと立ち寄った。 季節の甘味ということでマロン・グラッセの […]
第五百九十五夜   古美術品を買い取ってほしいとの依頼を受けて、高速道路で県を三つか四つ跨いで山中の別荘地へとやってきた。 元は私の店のある地方都市にお住まいの裕福なご夫妻で、昔から懇意にさせていただいていた。 […]
第二百六十二夜   露天風呂を堪能して部屋へ戻る途中、すれ違った仲居に地ビールを頼んだ。 汗をかいて火照った体に冷えたビールをと考えるだけで頬が緩む。出張で年中あちこち飛び回っているうちに、楽しみといえば酒ばか […]
第百四十四夜   一ヶ月ぶりに取引先を訪ね、担当者に応接室へ招かれて中に入ると違和感を覚えた。 入口の扉の正面は大きな窓、部屋の中央に硝子の天板の卓、手前と奥とに革張りのソファ、部屋の四隅には観葉植物が置かれて […]
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