第三百七十六夜   八月に入って急に猛暑がやってきた。事務所内は冷房を効かせてそれなりに涼しいものの席により個人により体感温度が異なるし、節電という大義名分を味方につけた寒がり勢力に合わせた温度設定がなされてい […]
第三百七十五夜   幸いにもテレ・ワークで大半の仕事が片付く職種なのだが、週に一度の出社でしか外へ出歩かなくなって早くも三ヶ月が経った。 運動不足は自覚していたが、先日遂に、 「顔に肉がついたのでは?」 と後輩 […]
第三百七十四夜   いつもの最終バスに揺られながらスマート・フォンで今日のニュースをチェックしていると、普段なら停まらぬ停留所にバスが付けた。最終バスといっても田舎のことだからまだ午後十一時の手前ではあるが、田 […]
第三百七十三夜   まだまだ通常通りとはいかない学校の授業だけれど、市の施設を使うということもあり、私達四年生の校外学習、一泊の林間学校は無事に行われることになった。 その報せを受けた夜、二段ベッド二横になって […]
第三百七十二夜   着替えやら化粧品やら、一通りの荷物を詰め込むと、スーツ・ケースはそれなりの重さになった。それをゴロゴロと引っ張りながら向かっているのは、残念ながら旅行先ではない。住民票を都に移してしまってい […]
第三百七十一夜   この長雨で気温の上がらないのは有り難いが、部屋の湿度も下がる暇がなったのだろう、クローゼットの中の冬物の上着にぽつぽつとカビの生えているのに気が付いた。 クローゼットといっても古いアパートに […]
第三百七十夜   ファミリィ・レストランのバイトを始めて初めて迎える金曜の夜、そろそろ土曜になろうかという頃合いに漸く客が引けて一息といったところ、殆ど空車となった駐車場へ黒いワンボックスが入ってきた。 入店し […]
第三百六十九夜   「疫病騒ぎの中、こんな晩くまでお仕事で大変ですね」 と、車を出した運転手がルーム・ミラー越しにこちらを覗いて声を掛けて来た。 「いやあ、この時間でもタクシィを捕まえ易くなって、却って有り難い […]
第三百六十八夜   珈琲を淹れ終えて席へ戻り弁当を広げていると、今年の新人がエコ・バッグを提げて隣の席へ戻ってきた。近所のコンビニエンス・ストアで昼食を買ってきたのだろう。 お帰りと一声掛けて、冷凍食品のコロッ […]
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